こんにちは。
院長の江夏国禎です。
最近コロナで県外での研修会もほとんどオンラインとなってしまいましたので、矯正やインプラントの最新情報を入手するために研修は受けているのですが、最近のコロナの自粛ムードで、関係ないのですがブログの方もしばらくお休みしてました。
今回は最近えなつ歯科では子供の矯正のやり方を全面的にリニューアルしたのでその内容について皆さんにお伝えしたいと思います。
私は鹿児島に開業して12年がたちますが、12年前の鹿児島には「歯を抜かない矯正」という考えはほとんどありませんでした。
当時矯正治療と言えば、永久歯が生え替わる11歳から12歳くらいまで待って、その後上下左右の第一小臼歯(4番の歯)を抜歯し、歯にブラケットを装着し、ワイヤーで歯並びを並べるというやり方が一般的でした。私も大学にいるときはその抜歯の矯正を習いましたし、大学病院も矯正専門で開業されている先生たちも同じように抜歯してワイヤーで矯正するやり方をしていたと思います。今でも大学病院では教育機関として、オーソドックスなやり方を学生たちに教える必要がありますし、矯正専門医として開業していらっしゃる先生方はそのやり方を踏襲していらっしゃる歯科医院がほとんどだと思います。
私は鹿児島大学歯学部を卒業後、日本一研修が厳しいことで有名な新潟に本院を持つ日本最大の歯科グループである医療法人徳真会まつむら歯科に就職し、1日50人以上の患者さんの診療をしながら、毎週日本の歯科界で著名な歯科医師の先生から歯科に関するあらゆる分野の研修会を受講しておりました。まつむら歯科は年中無休の歯科医院で、シフト制で診療を行っておりましたが、歯科医師は毎月5万円の研修費を自動的に給料から天引きされていて、そのドクターから集めたお金で、日本中の最新テクニックを持った先生たちを毎週日曜日に講師として招き、歯科医療の最先端の知識や技術を学ぶ研修会の場が設けられていたのです。この研修会は任意参加で、研修会に出たかったら月に6日しかない休みを1日潰さなくてはならないというルールがありました。
毎月研修を受けてもうけなくても5万円天引きされるくらいだったら、目一杯勉強し、歯科医療の知識や技術を学びたいと,私は月6日の休みのうち、4日間を研修会にあて、本当に休みなのは月にたった2日しかありませんでした。しかしその厳しい環境で得た知識や、技術がその後の歯科医師人生を大きく変え、現在の総合歯科医としての意志杖を築くに至ったことは言うまでもありません。
その当時ポール矯正歯科の各務(かがみ)先生という筑波で開業していらっしゃる先生から、床矯正装置を使っての小児矯正のテクニックを学びました。当時は大人の歯並びになってから上下左右の第一小臼歯を抜歯しての矯正治療が主流であった中、子供の時期から床矯正装置という取り外し式の装置を使って、子供の顎の成長発育を促すことで、永久歯列になったときに上下左右の第一小臼歯を抜歯せずに歯を並べていくことができるという、とても画期的な治療方法でした。このテクニックを学び、小児の時期から関わることで歯を抜かないでも歯並びをキレイにすることができる技術を身につけました。
その後私は熊本で医療法人鏡会クレア歯科医院というところで分院長を任され、当時熊本でも「小児矯正」や「歯を抜かない矯正」をやっている歯科医院は皆無だったため、熊本でもたくさんの患者さんを「小児矯正」や「歯を抜かない矯正」に導くことができました。
その後私は熊本に8年間勤務ののち、2009年鹿児島の地で開業することになりました。その当時から鹿児島にはたくさんの歯科医院があり、同じような歯科医院を作っても鹿児島の患者さんにとって、たいして役に立てないと思っておりましたので、鹿児島にないもので、鹿児島の患者さんにとってお役に立てる知識や技術を広め、鹿児島の患者さんのお役に立ちたい。そんな気持ちで開業しました。
開業当時、私が今までに学んできたり身につけてきた知識や技術の中で、鹿児島にあまりないものとしては「麻酔鎮静法をベースとした無痛治療」「床矯正装置を中心とした歯を抜かない矯正治療」「チームとしての歯科訪問診療」「精密義歯治療」「お口の除菌治療」「無痛治療をベースとしたインプラント治療」「顎関節症の原因療法」などがありました。
一つ一つ形となるようにホームページで紹介したところ、患者さんの間でも口コミが広がるようになり、その後を追いかけるように、他の歯科医院でも同じような治療が紹介されるようになってきました。
しかし子供の顎の成長発育を促したり、口腔周囲筋の筋力アップを中心としたいわゆる1期治療と呼ばれる小児矯正を進めていくと、ある問題点に行き当たりました。それは、床矯正だけですべてキレイになるのはおよそ50%位で、残り50%の患者さんはやはり床矯正が終わった後に2期と呼ばれるワイヤーの矯正治療をする必要があるということでした。
床矯正装置では歯列は広がり、永久歯は抜かなくても良いような大きさにはなりますが、床装置は機能的には歯を並べる機能はないので、床装置だけで歯並びがキレイに並ぶ人もいれば、並ばない人もいるのが現実でした。
その後今までに会得した、知識や技術に加え、たくさんの臨床経験を生かして、床矯正装置に加え、ムーシールドやプレオルソと言った、筋機能矯正器具を使った小児矯正、ワイヤーを使ったマルチブラケット法、マウスピースを使ったインビザライン矯正など矯正治療の幅を広げて行きました。
現在子供たちの歯並びや噛み合わせを診ると、顎の器が側方または前方に小さくて、歯並びがガタガタになるだけでなく、顔立ちものっぺりした顔立ち(鼻が低く横顔が絶壁になっている)の子が多くなっております。また口元に締まりのない顔立ちをしているお子さんたちも非常に多いです。
これは日本人が昔に比べてご飯を食べるときなどに噛む回数が圧倒的に少なくなって、舌をあまり使わなくなったせいで、舌及び口腔周囲筋の筋力が低下し、顎が成長発育しないまま固まってしまったり、歯列が小さくなり永久歯が入りきれなくなったことが原因で起きております。
これらの問題を解消するためにえなつ歯科・矯正クリニックでは床装置で顎の成長発育を促しながら、舌のポジショニングを改善するための治療を行ってきました。そのかいもあってえなつ歯科・矯正クリニックでは子供の頃から矯正治療を始めたお子さんで、永久歯を抜いて並べたお子さんはゼロです。
しかしそれでも問題点も少なからずあるのが現実でした。
子供の矯正治療を主に1期治療と言いますが、問題点としては1期治療は主に取りはずし式の装置を使うことが多く、①お子さんに依存するところが多いということ、②鼻詰まりなどのお子さんは装置を長くはめていられないということ、③顎を拡大し永久歯は歯を抜かなくても良いぐらいの顎に成長はしたとしてもやはり八重歯は1期治療だけでは並ばないので、2期治療が必要になると言うこと、④治療が長期間にわたるとお子さんもお母さんたちも治療疲れが起きてくるということです。
その問題点と向き合い、たどり着いたのが「プレこどもキレイ矯正®」「こどもキレイ矯正®」という子供歯並び矯正システムです。
今回「プレこどもキレイ矯正®」「こどもキレイ矯正®」に関して
ホームページhttps://enatsu-dc.or.jp/shoni/を作成させていただきました。全部読むとかなりのボリュームとなりますが、私が長年子供の歯並びの矯正治療や、歯を抜かない矯正治療に関わってきたなかで、子供の歯並びを考えるときに必要な考え方をすべて載せてあります。自分の子供の歯並びや噛み合わせが気になったときに、今のお子さんの年齢で、今どのような問題があって、今何をすべきなのかを知るきっかけになれば良いと考えます。
現在歯並びの矯正治療をしている歯科医院はたくさんありますし、近頃子供の歯並びの矯正を扱う歯科医院も以前より増えたと思います。やり方も治療費用も様々で、患者さんもどのような基準で歯科医院を選択したら良いか、当然迷われると思います。しかしながら、歯並びや、噛み合わせはお子さんの身体の健康や成長発育に大きく関わる大事な事柄となりますので、単に「費用が安いから」とか「アクセスが良く、通いやすいから」という理由でクリニックを選択するのだけは避けた方がいいと思います。ひとえに「子供の歯並び矯正」といっても担当医の考え方やり方は千差万別で、結果も似て非なるものとなります。また今後も長いお付き合いをしていくことになると思うので、担当医との相性もとても大事な要素になると思います。
あとで後悔することがないように、子供の歯並びの矯正を考える際には、契約する前に一度えなつ歯科にいらっしゃって、私の話を聞いてみてから最終決定していただくことを強くお勧めいたします。