当院は、厚生労働省が定める安全基準である「歯科外来診療環境体制」をクリアした数少ないクリニックです。
「歯科外来診療環境体制」とは、
- 口腔内で使用する機器等の患者ごとの交換や、専用機器を用いた滅菌処理を徹底する等、十分な感染症対策を講じていること。
- 口腔外バキューム等により、治療時に飛散する細かな物質を吸収できる環境であること。
- 緊急時の対応整備が整っていること(AEDや連携保険医療機関がある)。
- 緊急時の対応、感染症対策等の医療安全対策に関わる研修を修了していること。
など、9項目の基準を満たしている医院に与えられます。
また、当院では「歯科医療の安全性」に関して、
ⅰ)治療に際するヒューマンエラー(人的ミス)の発生防止
ⅱ)治療器具などを介した細菌・ウイルスの院内感染防止
ⅲ)患者様の大切な個人情報の漏洩防止
ⅳ)患者様のご理解・ご納得、つまりインフォームドコンセントのない治療計画・治療進行の防止
ⅴ)患者様の体調などの急変に備えた救急対応力の強化
の5つを重要な指針として定め、各指針を最大限に遵守するためのアクションを具体化しております。
ⅰ)治療に際するヒューマンエラー(人的ミス)の発生防止
歯科医療は、歯科医師・歯科衛生士をはじめ有資格者である人材が患者様のお身体に直接触れ、医療技術を用いて処置を行うものです。有資格者といえども、人である個人が、患者様との信頼関係のもとで治療にあたるため、クリニックとして全てを個人の責任に委ねるのではなく、クリニックとして医療事故が起こらない、起こさせない最大限の取り組みが必要と考えております。
そのためには、
- お一人おひとりの患者様の施術に対して、可能な限り術者が落ち着いて治療にあたることができる時間を確保
- 医療機器、医療器具、医療環境においての費用を十分にかけ、医療従事者が使いやすく、壊れにくい、メンテナンスが容易なインスツルメンツを整備
- 医療従事者の体調管理・健康管理の徹底(健全で心身ともに十分な休養をとれる労働環境のもとで経験を高めていく環境づくりと定期的な個別面談、健康診断、予防接種の実施)
- 個々の我流の治療方法を極力排除し、クリニック全体で定められた治療の手順や方法を遵守できる施術の標準化・明文化と教育
- 小さなトラブルを見逃さず、書面での報告が徹底される組織づくり(個人がミスを隠す必要がなく、クリニック全体の問題としてとらえられる組織風土を作るために、指導や教育に関する話し合いを各部門の責任者間で常に行い、誠実さ・真摯さ・素直さを称賛する文化づくりを行っています)
- どのような小さなトラブルであっても、きちんとクリニック全体で即座に話し合い、発生の根本原因を精査し、即座に解決していくミーティング体制の構築
- クリニック内のどの場所を、いつでも自信をもって第三者にご覧いただけるレベルに院内の整理整頓、清掃を実施し「定物定置」「誤解や誤認が起こることがない医療環境」を構築
に、クリニック一丸で取り組んでおります。
ⅱ)治療器具などを介した細菌・ウイルスの院内感染防止
歯科における治療は、1回1回の処置が常に、唾液・血液などを介するオペ(手術)ともいえるものになります。そのため、歯科治療は常に、様々な病原菌・ウイルスとの闘いともいえます。
残念ながら、医療機関であっても細菌感染やウイルス感染に関する理解が十分ではない所もあり、徹底した院内感染防止対策が取られているクリニックばかりではないとも耳にします。
患者様に直接目に触れる部分ではない、器具の滅菌・消毒、医療環境の除菌清掃、感染症に対する予防対策など、医療において最も大切な身体の安全を守るための対策をきちんと徹底することが、患者様にご信頼いただくための必要最低条件であると私たちは考えております。
近年、各種メディア等で言われている、歯を削る器具であるタービンの使い回しの問題や、治療時にお口の中にでるお水が雑菌で汚染されている問題など、患者様が心配や不安を抱えながら医療を受けなければならないのは本末転倒です。
当院では、各器具に対する消毒・滅菌方法についても明確化し、作業に抜け漏れがないように徹底しており、患者様のお口に直接入ったり、触れたりする器具はすべて1回1回の治療毎に滅菌・消毒する、あるいは、ディスポータブル(使い捨て)のものを用いることで、安心していただけるように徹底しております。
当院の医療器具の消毒・滅菌の流れ

器具は一つ一つ丁寧に洗浄してます。

ウィルスから真菌まで、ほとんど全ての細菌を殺菌することができる強酸性水に浸します。

殺菌効果が得られると同時に、脂肪やタンパク質などの洗浄にも効果を発揮する強アルカリ性水で超音波洗浄します。

器具を水洗いしていき、乾燥させます。

高圧蒸気滅菌器と言われるオートクレーブにて滅菌を行います。C型肝炎ウイルス、B型肝炎ウイルス、エイズウイルスなどの院内感染を防ぎます。

使用する器具は患者さんごとにパックをし、感染を防止しています。
治療に用いる水そのものについて、何の対策も施されていない診療台(チェア)においては、治療毎にお口から機械への水の逆流が起こり、その結果、機械内部での細菌の増殖が起こっていることが知られるようになってきました。
この問題に対し、当院はメディアでの報道がなされる前から対策を施しています。
具体的には、水そのものを患者様の体に安全で、かつ、細菌やウイルスにのみ高い殺菌能力を有する水に変換する“エピオス・エコシステム”という医療機器を導入することでクリアしました。
また、当院では定期的にチェア内部を流れる水に含まれる細菌数を専門の第三者機関に依頼してチェックし、常に無菌の状態を維持できているかを確認しております。
ⅲ)患者様の大切な個人情報の漏洩防止
現代社会は情報化社会であり、facebook、twitter、LINEなどのSNSや各種インターネットから、少しの個人情報をもとに、専門的な知識があればより深い情報を引き出せるような状況になってきました。医療機関の安全性としては、医療事故にのみ関心が集まりがちですが、安心して医療をお受けいただくには、個人個人の情報が適切に守られ、プライバシーを尊重される環境を守ることが必要不可欠であると考えております。
当院は、患者様のカルテの保管方法についても施錠ルールなどを厳密に定め、大切な患者様の情報が当院での治療や個々人の患者様にご理解いただきたい医療情報やクリニックの情報をご提供する以外に使用されることがないよう、徹底した個人情報の管理に取り組んでおります。
ⅳ)患者様のご理解・ご納得、つまりインフォームドコンセントのない治療計画・治療進行の防止
医療の安全性のもう一つ重要なポイントとして「納得していない治療を拒否できる患者様の権利」が適切に保たれていることが挙げられます。当院では、お口の健康・お体全体(全身)の健康を最大限に高めるための高品質な医療をいつでも提供できるよう、保険診療以外の自由診療となる診療プログラムとして多数、揃えています。
しかしながら、たとえベストな医療であったとしても、それを心から納得できない場合、その種の治療を医療従事者の強制により受診させられるような環境であってはならないと考えております。
したがって、当院では、お一人お一人の患者様が選択可能な治療内容をすべて包み隠さずにお見せし、各治療法のメリットだけでなく、デメリットの部分も明確にしながら、ご理解いただきやすい資料を作成して、専属のコーディネーターがご説明をさせていただいております。
どのような治療を最終的に選択されるか、その決定権は患者様に委ねられます(ただし、保険診療(国の助成を用いた診療)による治療の“手順”に関しては、厚生労働省が定めた方法が明確化されているため、私たち医療従事者も、そして患者様にも、選択権がない場合があります)。
患者様の現在の症状、抱えておられる生活環境、どのようなお口や健康を手に入れたいかなどのご希望を総合的に考えながら、一人ひとりの患者様にとってベストな選択、心からご納得いただける選択をサポートさせていただくのが、コーディネーターの役割です。
歯科医師や歯科衛生士は、どうしても症状からのみ判断し、最も良い方法を患者様に力強くご説明してしまいがちであり、患者様からすると、本音を言いにくい状況が生まれてしまいがちです。患者様が、本当に感じていることを包み隠さず話し、相談でき、かつ、専門的な知識を持ってサポートしてくれるコーディネーターは、患者様と医療従事者の橋渡しの役割として、中立な立場から、患者様と医療従事者が共に同じ目的に向かって治療を進められるよう「心のサポート」を中心に行ってまいります。
治療計画に関して、患者様にご納得いただけたことをお互いに確認できてからでなければ、原則として治療に入っていくことはありません。
また、治療中に発見された症状の変化により、治療計画の変更が余儀なくされる場合であったとしても、即座に患者様に状況の説明と新たな選択肢について、きちんとご説明をさせていただきます。
患者様と十分なお話の機会を持つことができるコーディネーターの存在は、必ず、患者様の心の安全・安心をお守りし、良きパートナーとして最後まで治療に関わってくれます。
当院は、このコーディネーターという役割が持つ責任と重要性を認識し、常にブラッシュアップすると共に、患者様の新たなニーズやご要望を通じて、日々クリニック全体の改善に努めております。
ⅴ)患者様の体調などの急変に備えた救急対応力の強化
多くの健康な患者様にとっては「まさか」と思われるかもしれませんが、歯科の治療においても、様々なリスクが重なることにより、死の危険と隣り合わせとなるような状態が起こる場合がごく稀に起こるといわれています。
たとえば、心臓病を持たれている方に対しての「抜歯(歯を抜く)」処置。
抜歯後に血栓が血管内を詰まらせ、心停止を引き起こす事故なども数は少ないですが、全国的にみると発生しているようです。
また、骨粗鬆症などによりお薬を服用されている方などにおいても、休薬せずに抜歯を行うと顎骨壊死が起こるという報告がある(その是非については諸説あります)など、意外なリスクも少なからず存在しているのが歯科治療でもあります。
また当院では、比較的高度な麻酔技術を用いた治療も行っており、血圧・血中酸素濃度・心拍数などに影響を与える麻酔薬などを利用する場合があることから、心停止などの緊急事態における救急対応法を常にスタッフ全体で外部講習を受け、復習し、また救急対応を速やかに行うためのAEDなどの機器設置についてもきちんと行っております。
常に、医療としての緊張感を持ちながら、患者様にご安心いただけるホスピタリティーあるおもてなしができるよう、スタッフ一同、誠心誠意取り組んでおります。