■Q&A

歯周病に関する質問にお答えします。

Q1:処置とメンテナンスの頻度について
 

お口の中の細菌リスクを軽減して、口腔内環境をリセットしてもらう処置は1日で終わるのでしょうか? また、その後のメンテナンスは、どれくらいの頻度で通院すればよいのでしょうか?

 

細菌のリスクを減らす処置は、歯周病の症状が初期の方で6時間、中等度の方で8時間、重度の方で10時間かかります。歯周病の症状が初期の方なら処置は即日で完了しますが、中~重度の症状の方は時間的に2度通ってもらうことになります。

その後のメインテナンスは、3か月に1回をお勧めしています。その理由としましては、お口の中の歯垢は一度きれいにしても3か月たつと元に戻ってしまうからです。
Q2:むし歯の場合の施術について
 
むし歯がある場合は、その治療が完了してからTHPを受けるのでしょうか? それとも、THPの施術の過程で治療を行うのでしょうか?
 
むし歯も歯周病同様、細菌感染症です。基本的には、まずTHPを行ってお口の中の細菌リスクを限りなくゼロにして、それから虫歯などの治療を行っていきます。
Q3:THPの料金について
 
THPは保険が適応されないということですが、大まかな料金を教えていただけると助かります。
 

歯周病の症状が軽いか重いかによって料金は変わります。

・歯周病の症状が初期の場合の方は、18万円(税別)

・歯周病の症状が中程度の方は、24万円(税別)

・歯周病の症状が重度の方の場合は、30万円(税別)

いずれも治療内容は同じなのですが、歯周病は進行すればするほど歯周ポケットが深くなり、ポケット内の歯石や菌の量も増えるため、除去するのに手間と時間がかかるので、このような料金設定となっています。

Q4:歯周病と糖尿病の相関関係について
 
歯周病と糖尿病に深い相関関係があるとしたら、歯周病が肥満を引き起こす要因にもなるのでしょうか?
 

日本の糖尿病患者さんの95%を占め、血糖値(血液中のブドウ糖)が正常より高くなる「2型糖尿病」の患者さんの約70%は、現在肥満の状態であるか、過去に肥満であった時期があるといわれています。

肥満とは、余分なエネルギーが脂肪となって体に蓄積した状態のことです。

私たちが食物として取り込んだ脂質や糖は、肝臓がエネルギーに変換(代謝)してくれています。代謝が効率よく行われていれば、取り込んだ脂質や糖はすべて、身体に有用な物質やエネルギーに変換されますが、その機能が低下すると、脂質は脂質のまま体内に蓄積し、肥満や高脂血症の原因となります。

歯周病菌が血液に混入して肝臓にたどりつくと、歯周病菌がもっている毒素が炎症を起こさせ、脂質代謝・糖代謝を阻害する中性脂肪の沈着を起こします。その結果、肥満となり、糖尿病になる可能性が大きいといわれています。

あまり食べないのに太りやすいという人は、歯周病の検診を受けるべきです。
Q5:妊婦が歯周病の場合の胎児への影響について
 
私は妊娠3ヶ月です。「歯周病は親から子どもへ感染する」とありましたが、妊婦が歯周病だと胎児への影響はあるのでしょうか?
 

歯周病で炎症が引き起こされている患部では、分娩(子宮収縮)に関わる物質と共通の働きをする炎症物質も分泌されているといわれています。

口腔内の歯周病菌が血液に侵入して体内に入ると、産科器官にまで達して炎症を引き起こします。すると、分娩の適切な時期に至る前に子宮収縮が引き起こされ、早産になる危険性が高まります。

また、歯周病菌が血液を通して胎盤を通過して胎児に直接感染してしまうと、発育不全による低体重児出産も引き起こします。

アメリカのある調査では、早期低体重児出産の発現率は、歯周組織の状態が健康な妊婦で4.1%、歯周病であり歯周治療を受けた妊婦で7.5%であったのに対して、歯周病だが治療を受けなかった妊婦は79%であったことが報告されています。

このようなことからも、早産や低体重児出産の産科的疾患は歯周病治療によりそのリスクを大幅に軽減できます。

また、妊婦が口腔内の健康状態の向上を意識することは、生まれてくる子どもの口腔内の健康状態の向上、さらには日本人の口腔内の健康状態の向上にもつながります。

Q6:骨粗鬆症と歯周病の相関関係について
 
私の叔母は1年前に「骨粗鬆症」と診断されたのですが、歯の骨を溶かす歯周病とも相関性はあるのでしょうか?
 
私たちの身体を形成している骨は、骨をつくる細胞と、骨を壊す細胞が常に活動しながら、毎日少しずつ骨を再構築してくれています。しかし、そのバランスが崩れると、必要以上のカルシウムを溶かし出してしまいます。
特に女性は閉経により、骨の形成を促進して、骨の吸収を抑制する物質を促進する女性ホルモン(エストロゲン)の分泌が不足することで、そのバランスを保てなくなり、骨量が減り骨粗鬆症に陥りやすくなります。
また、歯周病により炎症が引き起こされると、骨の吸収を促進する炎症物質が分泌されることがわかっています。すると、ますます骨を壊す・吸収する側に傾いてしまいます。骨粗鬆症と歯の喪失については、まだ直接的な関係があると明確になったわけではありませんが、今も多くの研究がなされ、大部分で関連性があると報告されています。
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