筋肉内鎮静法とは
患者様の心電図や血圧など全身の状態をモニターで管理しながら、【ドルミカム】というお薬を筋肉(二の腕)に点滴する麻酔法です。
患者様はウトウトして眠っているような状態になります。
意識が完全になくなるわけではないので、こちらの問いかけにも受け答えすることができますし、万一気分が悪くなったり苦しい時には、ご自身で訴えることができます。
筋肉内鎮静法の特徴〜その長所と短所〜
麻酔効果は2時間
ドルミカムという薬は患者様に作用する時間の調整が難しいというデメリットがあります。投与量を増やしても患者様の苦痛やストレス緩和の度合い(鎮静)を深くするのには限界があり、作用時間だけが延びてしまうことになります。
そのため2時間を超える治療には向きません。
ただ逆に言うと、その分、使用する薬も少ないので患者様の肉体的負担も軽く、金額的負担も手頃です。
強い健忘効果
麻酔中、患者様はウトウトして眠っているような状態ですが意識はあります。
ただ治療中に起こったことを患者様はほとんど覚えていません。
医師が問いかければ受け答えしているのですが、そのこと自体覚えていないのです。
時間の感覚も麻痺するので、気づいたら知らない間に治療が終わっています。
治療終了後、2時間は安静が必要
治療が終わると、患者様の意識はすぐに覚めますが、体の機能が完全に覚めるまでには2時間ほど必要です。その後は、ふだんどおりの生活に戻ることができます。
筋肉内鎮静法の流れ
1.患者様の全身状態を管理下においた上で、ドルミカムを二の腕から投与します
2.モニターで患者様の鎮静効果を確認できたら、治療開始
3.患者様のバイタルサイン・鎮静度を監視しながら、
必要に応じてドルミカムの投与を継続
4.治療終了後、患者様が麻酔から完全に覚めるまでに2時間ほど別室でぐっすり休んでもらいます。
5.帰宅の条件は、患者様のバイタルサインが正常になっていることはもちろんですが、
まっすぐ歩けるか、30秒目を閉じて直立不動で立っていられるかなど、患者様の
体の機能が元どおりに戻っていることを確認できた時です
筋肉内鎮静法の対応症例
という方はいませんか?
Kさんが当院に来院されたのは、自分に合う入れ歯をつくって欲しいという相談がきっかけでした。
まだ22歳という若さなのに右の下の奥歯が2本、すでに部分入れ歯になっていました。
入れ歯をつくったのは5年前との事。
それから数回は、なんとか自分の口に合うように入れ歯の調整に歯科医院に通っていたものの、その度に担当医にイヤな顔をされるのでやがて歯科医院に行きたくなくなったそうです。
それ以降は合わない入れ歯で我慢して生活していたものの、ついに我慢できなくなって来院されたとのことでした。
Kさん曰く
と胸の内を打ち明けてくれました。
そこでKさんに質問してみました。
後日、Kさんはインプラント治療を受けることを決意されました。
とはいえ「本当に寝て起きると治療が終わっている」のか、やはり最初は半信半疑だったようなので、インプラント治療に入る前に、その周りの悪くなった3本の歯を筋肉内鎮静法を用いて治療を行いました。
Kさんはこれまでの体験から、また何度も通院しないといけないのかと憂うつでしたが、1回で治療が完了したことに何より驚かれていました。
「まさしく、寝て目覚めると歯が治っていました」と喜んでくれました。
肝心のインプラントを埋める手術も予定通り2時間で終わり、当院でぐっすり眠ったKさんは、午後からは元気に仕事に戻ったほどです。